通所介護の実地指導のポイントとは?本番前にしっかり予習!

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通所介護の実地指導のポイントとは?本番前にしっかり予習!

はじめに

介護保険サービスを行っている事業所にとって、不安なのが実地指導ではないでしょうか。実地指導の結果によっては「介護報酬の返還」や、最悪の場合には「指定の取り消し」という重い処分もあり得るからです。

「介護報酬の返還」とは、国民健康保険団体連合会(以下、国保連)に請求して2ヶ月遅れで入ってきた介護サービス費を、市町村や利用者に返さなければならない措置になります。

「指定の取り消し」とは、介護保険事業所としての指定を取り消される、つまり廃業しなければならないということです。

このようなことにならないため、今回は実地指導を安全にクリアするためのポイントをご紹介します。

実地指導とは

実地指導とは、どのようなものなのでしょうか。
またよく同じものと捉えられがちな「監査」とは何が違うのでしょうか。
実地指導とは、監査との違いは何かについて解説します。

実地指導とは
実地指導とは都道府県や市町村など、事業所を指定する権限がある行政機関が介護事業所を訪問し、用意された書類やヒアリング内容に基づいて介護保険に則ったサービスができるようにアドバイス(指導)を行うものです。

実地指導で行うことは、主に次のとおりです。
・コンプライアンス(法令遵守)が守れているかの確認
・利用者本位のサービスが提供されているかの確認

これらのことが守られていない時に「口頭指導」や「文書指導」があり、特に文書指導を受けた場合には、改善策を講じて報告することが義務付けられています。

コンプライアンスの中には「設備基準」「運営基準」「人員配置基準」を正しく満たしているか、ということが含まれます。

よく「虐待」や「身体拘束」が問題となりますが、これも「運営基準」で定められている【介護保険事業所が行ってはならない行為】に該当します。


監査との違い
監査とは、介護報酬請求や利用者への利用料請求などで不正請求があるかどうかを調査するものです。
つまり、事業所に入ってくるお金に不審な点がないか、ということを調査します。
不正請求とは例えば、実施していないような加算を算定している場合や、「共用費」などと銘打って利用者から徴収してはいけない費用を請求している場合などがあります。

実地指導との大きな違いは「事前通知」があるかないかです。
実地指導は「事前通知」がありますが、監査に「事前通知」はありません。

不正請求があるかどうかを判断する一つの要素として、実地指導が位置付けられています。
さらに国保連からの情報で、あまりにも介護報酬の返戻や過誤請求が多い事業所などに、監査が行われます。

また、居宅介護支援事業所のケアマネージャーや、過去にその事業所で働いていた職員などからの情報を基に、監査が行われることもあるのです。

実地指導までの流れ

実地指導がおこなわれる目安ですが、前回の実地指導において文書指導の項目が3項目以上あると、翌年も行われます。文書指導が0~2項目以内であれば、3年に一度行われます。
新たに事業を始めた場合には、その年度内に実地指導が入ることが多い傾向がみられます。

実地指導の流れについて、具体的には保険者等によって違いがありますが、一例を挙げてみます。

① 実地指導を行いたい月の、大体3~4ヶ月前に保険者等から電話で連絡が入り、日にちが、決定する。
② 実地指導が行われる1ヶ月前までに「指導監査の事前提出資料」を保険者等に提出する

この書類には、実地指導の内容となっている「設備基準」「運営基準」「人員配置基準」を満たしているか、また苦情相談やヒヤリ・ハット・事故、虐待があったかどうかなど、過去一年に遡って統計を出し、報告することになっています。
当日は、この事前提出資料を基に保険者等の職員が調査を行うのです。

前日まで

・ 「指導監査の事前提出資料」で提出した内容に誤りがないように、書類を整える。
・ 「設備基準」にある食堂の広さなどが確保されていることや、相談室や機能訓練室などが確保されていることなど、設備関係を確認しておく。
・ 事業所の管理者、相談員は必ず出席できるようにシフトを組む。
・ 施設内部の視察は必ず実施するため、整理整頓しておく。


当日

・ 調査用の書類の中には、職員の個人情報に係る書類も沢山あるため、実際に実地指導を受ける場所へ書類を運び、整頓するのは当日の朝に行う。
・ 調査員が指示する書類を提出し、準備した書類で足りないものがあれば迅速に対応する。
・ 内部の視察に対応する。
・ 調査が終了したら講評となるので、対応した職員だけではなく、可能な限り多くの職員が講評を聞くように手配する。

指導を受けた後

・ 実地指導時、口頭で指導を受けた内容についてすぐに改善できるように手配し、改善を実施する。
・ 文書で改善指導が届いたら、指導内容をクリアする解決方法を講じる。
介護報酬や利用料の返還が生じたのなら、保険者や利用者に連絡をとり、過誤請求や利用料の返還などしかるべき処置をとる。
・ 改善した内容を改善報告書に記載し、指定された期日までに実地指導を行った保険者等へ提出する。

実地指導対策のポイント

実地指導の概要、流れについて解説してきました。
では実地指導の対策はどのように行えばいいのでしょうか。

法令遵守を意識する
一番のポイントは「法令をきちんと守る」ということですが、介護保険の法令といっても非常に沢山あり、とても覚えきれません。

最も良い方法は「社会保険研究所」から発行されている「介護報酬の解釈」に掲載されている内容を熟読し、該当する部分は必ず守ることです。

介護報酬の解釈には「単位数表編」「指定基準編」「QA、法令編」の3冊があります。この3冊に書かれている自施設の内容を守っていれば、実地指導は何にも怖くありません。

記録や帳票を作成・保管する
記録や帳票というのも「法令遵守」の中の一つの項目です。

例えば「運営基準」の中には「原則として身体拘束は行ってはならない」と定められています。ただ、例外的にある条件をクリアした場合であって、本人かご家族から同意を得た場合にのみ、一時的に身体拘束を行ってもよい、となっています。

この場合、条件がクリアされているのかどうか、また説明と同意を行っているかどうかはすべて、身体拘束に関わる書類を調査員が確認します。

法令遵守を確認する際に、法で定められている各種帳票や記録がきちんと整備されているかどうかを確認しておくことが必要です。

サービス内容を説明・同意・署名・印を得る
利用者様に介護サービスを提供する場合、利用者様・利用者様ご家族の同意が必要です。
同意を得るにはサービス計画書の立案・説明をしっかりと行い、納得していただかなればなりません。
例えば「運営基準」の中には、「居宅介護サービス計画書の立案・説明・同意・交付・評価」ということが定められています。

「サービス計画を立案する際に、カンファレンス(担当者会議)を行ったかどうかが確認できない」という指導が行われた場合、カンファレンス記録が作成されていないか、保管されていないということになります。

またサービス計画書自体に、利用者あるいはご家族の同意、つまり署名があるかどうかも指導対象となります。

印鑑についてですが、介護保険法では「捺印」まで定めておらず、あくまでも「同意を得ること」となっています。「同意は自署で十分だ」という保険者もあれば「捺印が必要だ」という保険者もあるため、確認が必要です。

おわりに

介護保険法では、3年と5年に一度、介護報酬等の改正や改定が定められています。平成30年4月1日には、医療保険法との同時改正も行われました。

改正が行われると、通所介護事業所が遵守しなければならない指定基準や運営基準などが変更されます。それに伴い、各自治体なども指定基準内容などを変更し、実地指導の内容も変わることになります。

今後も、行政や自治体の動きに注目しながら、事業所の管理・運営を正しく行っていきましょう。