介護職員初任者研修に現場実習は必須なの?実際の内容とメリット

  1. トップページ > 
  2. 特集コンテンツ > 
  3. 介護業界 > 
  4. 介護職員初任者研修に現場実習は必須なの?実際の内容とメリット

介護職員初任者研修に現場実習は必須なの?実際の内容とメリット

はじめに

介護の業界で働く上で取っておいて損のない資格といえば、「介護職員初任者研修(旧:ヘルパー2級)」を挙げる人は多いのではないでしょうか。
介護職員初任者研修は通信講座と座学・実技講習に加え、受講するスクールによっては現場での実習を設けている場合もあります。
机に向かって勉強することは好きでも、実際の介護現場にいって実習するのはちょっと…と身構えてしまう人もいるかと思います。

介護職員初任者研修には、現場実習が必須なのでしょうか。
現場実習の内容と体験するメリット・デメリットについてご紹介したいと思います。

介護職員初任者研修に現場実習は必須?

介護職員初任者研修はかつて「ヘルパー2級」と呼ばれていました。ヘルパーには1級と3級がありますが、ほとんどの人が介護業界への入口として受講するのがヘルパー2級でした。

ヘルパー2級研修の時には、現場実習が必須でした。特別養護老人ホームなどの入所者がいる施設での実習や、日帰りのデイサービス、訪問介護事業所での実習です。

しかし介護職員初任者研修として統一されてからは、現場実習か実技講習のどちらかを受講すればOKとなりました。この違いは、研修を行う実施団体によって定められているものです。

中には、現場実習しか行っていないという団体もあれば、実技講習は必須で現場実習は希望者のみ、という団体もあります。

いずれにしても、現場実習は必須ではないのです。

現場実習では何をするのか?

介護職員初任者研修の現場実習は必須ではないことが分かりました。
では、現場実習ではどのようなことをするのでしょうか。


まずは現場の雰囲気を知る
講習で介護の知識を得たといっても現場に出れば、まだ何も任せられない状態です。
そこでまずは実習先の現場の雰囲気を知るところから始めましょう。

介護施設はその施設ごとにまったく雰囲気が違います。
同じ「デイサービス」という「日帰り」の在宅サービスであっても、事業所によってカラーが異なります。

これには働いている職員や、通っている利用者様の年齢層や状態などが大きくかかわっています。
さらに「地域性」もありますが、同じ行政区内であっても事業所ごとに雰囲気が異なります。
元気が良い職員がリードをとっている事業所であれば、必然的に雰囲気も明るくなります。
逆に、とにかくなにごともなく一日を過ごしてもらって無事に家まで送り届けることを目標にしている事業所は、どちらかといえば静かな雰囲気になります。
またレクリエーションに力を入れているのか、それとも機能訓練を重視しているのかによっても、大きく雰囲気が異なるのです。

このように現場実習では、行った施設の利用者様や職員をよく観察し、実際の事業所がどんな雰囲気なのかを知ることが大切になります。

利用者様とのコミュニケーションを取ってみる
現場実習は、実習といえども研修で学んだことを実際の利用者様に対して行う「実践」の場です。ですから、利用者様とのコミュニケーションを図ることも「実践」の一つとなります。

コミュニケーションなんて研修で教えられなくてもできるよ、と考える人もいるかもしれません。しかし高齢者の場合、一般的な方法ではコミュニケーションが不足してしまう場合があります。

例えば、人間は加齢に伴い聴力が落ちてきますので、利用者様に対してはゆっくりと、相手が理解できる速度や声の大きさで話をする必要があります。
一般的に加齢に伴う聴力低下の場合には、高音域が聞こえづらいといわれていますので、比較的声が高い人の場合には、低く出すような努力も必要なのです。

また、相手の目を見て話すことはコミュニケーションの基本ですが、見過ぎると、不快感を与えてしまう場合がありますので、適度に目線を外して話すことがポイントです。

さらに認知症を患っている利用者様の場合、同じ話を繰り返すことがありますが、「それはさっきも聞きましたよ。」と否定せずに、優しく相槌を打って受け止めるようにしましょう。

こういったポイントは研修時に学んだことばかりです。
実際の介護現場でぜひ実践してみましょう。

できる範囲で仕事を体験させてもらう
施設によって、実習生に任せる仕事内容には違いがあります。

例えば、いきなり車いすを押す移動介助をお願いされる施設もあれば、直接介助を行わずに話し相手や食事の配膳・片付けなど、何かあっても利用者様に影響が少ない業務のみお願いされる施設もあるのです。

ただ、実習は学びの場です。
タオルたたみのように利用者様と直接かかわらない仕事も含めて、できる範囲、させてもらえる範囲の仕事から現場の雰囲気や利用者様の様子など、実習でしか学び取れないことを吸収していきましょう。

よほど経験がなければ、利用者様の身体に触れるような直接介助を任せられることはないかと思いますが、実際の現場で実習していると、やむを得ずに手を出さなければならない場面に遭遇することもあります。
その場合であっても自己判断はせず、近くにいるスタッフの指示を仰ぐことが重要です。

現場実習に行くメリット・デメリット

現場実習でどんなことをするのかは分かりましたが、体験するメリット・デメリットはどんなことがあるのでしょうか?

メリット:仕事を始める前に現場の雰囲気を知ることができる
介護の現場を知ってから介護職員初任者研修を受講する人以外は、実際の現場の雰囲気がどのようなものか、想像しにくいかもしれません。
研修を終えていざ働きだした時に自分の思い描いていたイメージと実際の現場の雰囲気がかけ離れていると、「こんなはずじゃなかった」と早期離職に繋がりかねません。
仕事を始める前の不安を少しでも和らげたい、現場の雰囲気を知ってから介護の仕事を始めたいという方には現場実習はメリットになるでしょう。

デメリット半日から1日時間を取られる
現場実習を行う場合、直接介護を行わないとしても、半日から1日はかかることがほとんどです。
時間は日中のため、働きながら研修を受けている人は時間の調整が難しいかもしれません。
また複数の事業所で実習を行う場合、日程も複数確保する必要がありますので、予めスケジュールを調整しておく必要があります。

貴重な体験ができる分、時間も取られてしまうのが難点かもしれません。

おわりに

介護職員初任者研修を修了するのに、現場実習は必須ではありません。
ただ、実際の介護現場を知らない人にとっては、働きだす前に現場を知る良いチャンスとなります。
どうしても時間を取られてしまうというデメリットはありますが、時間や体力などに余裕があるなら、現場の雰囲気を体験する貴重な機会として、現場実習に行ってみるのはいかがでしょうか。