キャリアアップを目指す方必見!生活相談員になるには
はじめに
高齢者施設であれ障がい者施設であれ、利用者様のご家族とスタッフ、そして地域と施設とをつなぐパイプの役目を果たす「生活相談員」は福祉施設に欠かせないポジションです。
介護など福祉の現場で働いていてキャリアアップを目指す場合、介護職の次のステップとして目標にしたいのが「生活相談員」といえます。
では、生活相談員になるためにはどのような資格を取得する必要があり、その取得方法は何なのでしょうか。
生活相談員に必要な資格とは?
生活相談員になるためには介護現場での経験だけではなく、国で定められた資格の取得が必要です。
福祉施設の生活相談員になるための要件は、社会福祉法及び厚生労働省によって定められた資格です。
社会福祉主事任用資格については「社会福祉法第19条」によって定められています。
また福祉施設における社会福祉士及び精神保健福祉士については「特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する規則第4条 第2項に定める生活相談員の資格要件」によって定められているのです。
それでは生活相談員になるためにはどんな資格が必要なのでしょうか。
資格ごとに詳しく解説していきます。
社会福祉士
社会福祉士は福祉のスペシャリストであり、福祉の仕事に就くのであれば最終目標のような資格といえます。
社会福祉士は介護業界だけではなく、生活保護も含めた日本の社会福祉制度全般においての知識が豊富です。
また高齢者はもちろん、障がい者や子どもを対象にした制度や支援の方法に熟知しています。
さらに人権にかかわる権利擁護の知識もあるため、虐待を受けている高齢・障がい・子どもたちを守るために活動することもできるのです。
これらの事に熟知しているため、活躍するフィールドは非常に幅が広くなります。
福祉施設の生活相談員のみならず、大規模病院のメディカル・ソーシャルワーカー(MSW)や、地域の社会福祉協議会の社会福祉士、さらに行政が運営する(あるいは委託する)地域包括支援センターの基幹スタッフとして働くことができます。
精神保健福祉士
精神保健福祉士は社会福祉士と同様に、福祉や医療関係のスペシャリストです。
社会福祉士との違いは「精神的な障害」の方を支えることに特化しているということです。
現在、医療の発達により身体的な病を救うための手段がどんどん確立されています。
しかし精神的な病、つまり「こころの病気」に対しては、万人に通じる治療法というものが確立しにくいため、他の医療手法よりも進歩が遅れがちです。
一方でストレス社会である現代では「こころの病気」を抱えた人が多くなり、従業員が50人以上いる事業所では年に1度のストレスチェックが義務化されているなど、法律的にも注目を集めています。
精神保健福祉士は、そんなこころの病を抱えてしまった人が社会的に、身体的に通常の暮らしをおくることができなくなってしまった場合に、専門的にアプローチして支援することができる資格なのです。
精神保健福祉士の主な活躍分野は、医療業界です。
最も多く配置されているのが、精神科病院の精神科ソーシャルワーカー(PSW)です。
また企業におけるメンタルヘルス対策として配置されることもあります。
もちろん、福祉施設の相談員としても活躍しています。
社会福祉主事任用資格
「社会福祉主事任用資格」は、保健福祉事務所や市町村行政で相談援助業務として働く際に必要な資格となります。
前述した2つの資格と同様に、高齢者や障がい者、また貧困など生活困窮者が、一般的な社会生活をおくることが難しい場合に支援することができます。
必要であれば、医療機関や養護施設などと連携を図り、一時入院や入所・利用ができる手配なども行います。
社会福祉主事任用資格取得者の主な就業フィールドは、保健福祉事務所などのソーシャルワーカーです。
生活保護関係の担当者としても働いています。
自治体によっては他の資格でもOKな場合も
また上記3つの資格を所有していなくても、自治体によっては、他の資格でも生活相談員として従事することが可能です。
例えば、静岡県の例をみてみましょう。
厚生労働省が定める「特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する規則」では、生活相談員の要件についての解釈通知の中で「社会福祉施設等に勤務し又は勤務したことのある者であって、その者の実績等から一般的に、入居者の生活の向上を図るため適切な相談、援助等を行う能力を有する者」と決められています。
静岡県ではこれを受けて、次の者でも生活相談員として任命することができる、としています。
・介護支援専門員
・介護福祉士
・同一法人が開設する社会福祉施設等で、3年以上かつ540日以上介護業務等に従事した実績があり、事業者が生活相談員の能力を有すると認める者
参考:静岡県公式サイト
さらに長野県では、静岡県と同様に厚生労働省が定める解釈通知を適用させ、下記の者を生活相談員として任命することができるとしています。
・介護支援専門員
・介護福祉士
参考:長野県公式サイト(PDFデータ)
この2つを比べると、静岡県は同一法人で一定期間の現場経験があれば、資格の有無は問わないに対して、長野県は有資格者に限定をしています。
このように、自治体によって基準がバラバラなのです。
資格を取得するには?
生活相談員になるには自治体によって基準は異なりますが、一定の資格の取得が必要だということがわかりました。
では、生活相談員になるために資格はどのように取得すればいいのでしょうか。
社会福祉士
社会福祉士の資格を取得するためには「社会福祉士国家試験」に合格する必要があります。
さらに試験を受けるには受験資格が必要です。
1、4年制の福祉系大学にて指定科目を履修した者
2、4年生の福祉系大学にて基礎科目を履修し、短期養成施設等に6月以上入校し卒業した者
3、福祉系の短大等で指定科目を履修した後に、相談援助業務を1~2年実施した者
4、福祉系の短大等で基礎科目を履修した後に相談援助業務を1~2年行い、短期養成施設等に6月以上入校し卒業した者
5、社会福祉主事養成機関を卒業した後に相談援助業務を2年行い、短期養成施設等に6月以上入校し卒業した者
6、児童福祉司、身体障碍者福祉司、査察指導員、知的障害者福祉司、老人福祉指導主事の実務を4年経た後に、短期養成施設等に6月以上入校し卒業した者
7、4年制の一般大学等を卒業し、一般養成施設等に1年以上入校し卒業した者
8、一般短大等を卒業の後に、相談援助業務を1~2年行い、一般養成施設等に1年以上入校し卒業した者
9、相談援助の実務を4年行った後に一般養成施設等に1年以上入校し卒業した者
どの要件にしても一定期間養成施設または大学を卒業する必要があります。
社会人になってから社会福祉士の受験をする場合は自分が受験資格を得ているかどうか、まず確認するようにしましょう。
精神保健福祉士
精神保健福祉士を取得するためには、社会福祉士と同様に「精神保健福祉士国家試験」に合格する必要があります。受験しかくはほぼ社会福祉士と同様ですが、違いは次の2点です。
・前述した社会福祉士試験受験要件のNo.6がないこと
・代わりに「社会福祉士」として登録されている者であれば、短期養成施設等に6月以上入校し卒業した者
社会福祉士と同様、自分に受験資格があるかどうか確認する必要があります。
社会福祉主事任用資格
社会福祉主事任用資格を取得するためには、次の方法があります。上記2資格との違いは試験がないこと、そして国や地方自治体などが発行する「資格証明書」がないことです。
・大学等において社会福祉に関する科目を3科目以上修めて卒業した者(ただし該当する科目は、大学側の成績証明書や卒業証明書に記載されている科目のみとする)
・中央福祉学院や日本社会事業大学などの通信課程を1年間受講
・指定養成機関で22科目1500時間の講義を受講
・都道府県の講習会で19科目279時間の該当講義を受講
例外として、社会福祉士や精神保健福祉士は社会福祉主事任用資格を取得している者としてみなされます。
社会福祉主事任用資格の方が取得のハードルは低いですが、その分活躍できる場は狭められます。
おわりに
福祉の現場で働く人がキャリアアップとしての目標をもつ場合、生活相談員を掲げることは有用です。
生活相談員になるためには社会福祉士、精神保健福祉士、社会副主事任用資格を取得する必要がありますが、自治体によっては介護支援専門員や介護福祉士、さらに実務経験を積んで能力が評価されることによってもなれる場合があります。
このように、取得した資格や働いた実務経験を生かして、生活相談員へのキャリアアップを目指しましょう。そして生活相談員の求人をお探しなら、キャリアカルテを利用してみてはいかがでしょうか。
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