今日から実践!介護現場で役立つ声かけのポイントとは?

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今日から実践!介護現場で役立つ声かけのポイントとは?

はじめに

介護の現場に慣れない頃に、利用者様への声かけを練習したことがある介護職員は多いのではないでしょうか?
しかし介護の現場に慣れた今では、業務の忙しさでついつい利用者様への声かけを、忘れがちになってしまっているという介護職員も多いでしょう。
そこで今回は介護の現場で基本とされている、利用者様への声かけの重要性とそのポイントについて、くわしく見ていきたいと思います。
利用者様への声かけがおろそかになっていると思う介護職員は、ぜひ今回の情報を自分の利用者様への声かけに生かしていきましょう。

声かけの目的

介護が必要になると生活は大きく変わります。
その生活の変化に大きな不安を感じている利用者様は多いのです。
その不安を少しでも和らげるために、声かけは効果的とされています。
さらにスムーズな介護には欠かせない信頼関係を作ることにも、声かけは重要なのです。
以下ではそれらの声かけの目的について詳しく見ていきましょう。

利用者様の不安を和らげるため

利用者様は慣れない生活環境で不安を感じていても、それを介護職員に自分から訴えることが、できない場合も多々あります。
不安は言葉にして訴えることである程度軽減されますし、介護職員から促されることで、不安を訴えることができる利用者様も多いのです。
そのため介護職員は、不安そうな利用者様を見かけたら、積極的に優しく声掛けをして、不安を少しでも和らげてあげましょう。

信頼の絆を作るため

介護の現場では、介護職員はまず利用者様と信頼関係を作ることが大切になります。
しかし利用者様は日常の環境が大きく変わってしまった不安から、なかなか介護職員に心を開けない場合もあります。
そんな時に介護職員からの声掛けがあると、その声掛けをきっかけにして、話し出せるということがあるのです。

様々な介助を問題なく行うため

食事や入浴などの介助を安全に行うには、利用者様と介護職員のペースが合うことが重要になります。
そのため、利用者様に介護職員の次の動きを知らせるための声掛けは、介助を安全に行うために必要不可欠なものといえるでしょう。
介助の際の声掛けでは、利用者様の状況や自分と利用者様の位置関係をよく把握して、それらに対応した声かけを行うように、心がけると良いでしょう。


声かけのポイント

介護の現場での声掛けには、押さえておきたいさまざまなポイントがあります。
声掛けに自信がない介護職員はぜひ、以下で紹介するポイントを、日々の声掛けに生かしてみて下さい。

利用者様の名前を必ず呼ぶ

誰でも自分の名前をきちんと覚えてもらえていると、嬉しい気持ちになるものです。
そのため介護の現場の声掛けでは、必ず利用者様の名前を優しく呼ぶようにしましょう。
名前を呼ばれることで、相手に信頼感を抱きやすくなるので、普段あまり介護職員と話さない利用者様には、特に優しく名前を呼んで、声掛けをすることをおすすめします。

声掛けは利用者様の状態や気持ちに合わせて

利用者様の中には、認知症を患っている方も多くいます。
認知症の利用者様は認知症の影響で、ありえない内容の話をしたり、家族が来ていないのに家族が来たと言ったりします。
そのような時は、実際にはあり得ないことでも、認知症の利用者様にとっては、現実に起こっていることと受け止め、利用者様を否定しないように声掛けをしてあげましょう。
ちなみに認知症ケアでも言葉遣いに気を付けた声掛けや会話は、重要なものと位置付けられているのです。
また中には声掛けを嫌がる利用者様もいます。
その場合は無理をして声掛けせず、利用者様の気分が良さそうな時に声掛けを行うようにすると良いでしょう。

手や背中をさする

スキンシップは相手に安心感を与えるコミュニケーション方法の1つです。
そのため可能であれば声掛け中に、利用者様の手や背中などを優しくさすってみましょう。
利用者様により大きな安心感を与えることができます。
しかし中にはスキンシップを拒否する利用者様や、手や背中を触られると痛みを感じる利用者様もいるので、そのような利用者様には、スキンシップは控え、優しい声掛けを心がけるようにしましょう。

声かけの成功事例

声掛けが苦手な介護職員の中には、声掛けの具体的な方法や効果がよく分からず悩んでいる介護職員も多いのではないでしょうか?
そこで以下では声掛けの成功事例について、見ていきたいと思います。
声掛けが苦手な介護職員は、ぜひ以下の成功事例を参考にしてみて下さい。

声掛けを工夫することで利用者様本来の明るい性格が戻ることも

A様
年齢:80代
性別:女性
介護度:入浴のみ介助が必要

A様はおしゃべり好きにも関わらず、話の合う仲間が周囲にいないため、気分がふさぎ込みがちになってしまっていました。
そこで介護職員は明るく、フレンドリーにA様の好きなものを話題をメインに声掛けをしました。
その結果、A様はその声掛けをきっかけに、介護職員に話しかけることが増え、明るくなり、他の利用者様達とも積極的に話すようになったそうです。
介護職員とのコミュニケーションが増えたことで、より信頼関係も深まったとされています。

寡黙な性格の利用者様にも声掛けで安らぎを与えよう

B様
年齢:70代
性別:男性
介護度:入浴のみ介助が必要

B様は寡黙な性格なので、あまり介護職員や周囲の利用者様達ともしゃべることがなく、周囲となかなか馴染めず困っているようでした。
そこでB様の興味を引きそうな最近のニュースやスポーツに関することを話題にして、なるべく自然な感じを心がけて声掛けを行いました。
最初は応える言葉も少なかったのですが、根気強く声掛けを行った結果、B様が自分から話すことも増え、周囲と馴染むことができたそうです。
その後も介護職員との関係は良好で、お互いの緊張もかなり解けていっているようです。

我慢強い利用者様には健康を守るためにも特に声掛けが重要

C様
年齢:90代
性別:女性
介護度:生活全般に介助が必要

C様は自分の体調不良をなかなか介護職員に訴えることができず、症状が悪化するまで、体調不良に気付かれないことが多いという問題がありました。
そこでC様に対して、安心感を与えるような、のんびりした調子で、体調を気に掛ける声掛けを行いました。
その結果今まであまり介護職員の声掛けに応えることがなかったC様が、言葉を少し返すようになってきたそうです。
C様はその後介護職員といると表情が柔らかくなるようになり、今まで我慢しがちだった体調不良を、その介護職員に訴えられるようになってきました。

このように声掛けを少し工夫すると利用者様と打ち解けたり、信頼関係の構築に結びつくことがあります。
一度失敗して止めるのではなく、「次はこういう風に話しかけてみよう」などやり方を変えてアプローチをしてみるようにしましょう。

おわりに

介護の仕事に慣れてくると、だんだんと声掛けを忘れてしまいがちですが、介護職員と利用者様の信頼関係を築くために、声掛けは欠かせないものです。
そのため声掛けを忘れがちな介護職員は、初心を思い出して、声掛けを意識して行うようにしましょう。