介護現場では必須のポジショニングについて
はじめに
私たち の働く介護の現場では、さまざまな身体の状況の方がいます。
その方の姿勢、座位などのポジショニングを正しくすることは、利用者様の身体状況の維持に深くかかわります。
ここでは、介護現場で知っておくべきポジショニングについて分かりやすく解説していきます。
ポジショニングとは?
ポジショニングとは、運動機能障害を有する者に、クッションなどを活用して身体各部の相対的な位置関係を設定し、目的に適した姿勢(体位)を安全で快適に保持することをいいます。
(「褥瘡会誌(Jpn J PU),11(4):554-556,2009」)
安全で快適な姿勢を保持することが、ポジショニングといえます。
ポジショニングは利用者様のためになる
安全、快適な姿勢で体位保持をすることは、褥瘡(じょくそう)や関節の拘縮(こうしゅく) の予防をすることができます。
私たちがポジショニングについて知ることは、利用者様の皮膚や関節の状態維持をする上でとても役に立ちます。
利用者様のために、皮膚や関節の状態を悪化させないために必要な知識です。
誤ったポジショニングでいると、褥瘡や関節の拘縮が形成、進行してしまうため、利用者様のQOL(生活の質)の低下につながってしまいます。
ポジショニングに使うもの
安全で快適な姿勢を保持するために使用できる用具があります。
利用者様が快適な姿勢でいられるように、しっかりと用具を知っておきましょう。
スネーククッション
スネーククッションは、主にベッド上でのポジショニングを整えるのに使用します。
蛇のように細長い形状をしているため、さまざまな使い方ができます。
円背の方には肩、腕、頭を支えるようなポジショニングにも使えますし、仙骨(せんこつ)や臀部(でんぶ)に褥瘡が形成しないように体圧を軽くする方法でも使用できます。
さまざまなタイプの体位保持に対応できるのが特徴です。
介助グローブ
介助グルーブは、介護者の手に装着して使用する用具です。
除圧(じょあつ)するために、利用者様の体に手を入れるときに、滑りやすい素材のため簡単に手を差し込むことができます。
主に、背抜き、腰抜き、足抜きといった除圧の場面で使用します。また、除圧する場合には、ベッドの床面高を変更し、介護者の腰に負担がかからないようにしましょう。
マットレス
マットレスは、ベッドと利用者様の身体の間に敷いて使用する用具です。
利用者様の身体の一カ所に圧力がかかることを予防する効果があります。
マットレスには、さまざまな種類があり、低反発マットレス、エアマットレス、自動体位変換機能付きマットレスがあります。
中には、温度調整ができるものや、マットレスから風がふいて蒸れ対策をしてくれるものもあります。その利用者様の状態に合わせて選んで使用しましょう。
ポジショニングの導入
ここまで、ポジショニングとポジショニングに使用できる用具について解説してきました。
では実際にポジショニングが必要な方に、どのような流れで導入すればよいでしょうか。段階を追って解説していきます。
導入前に
まずは利用者様の状態を正しく評価(アセスメント)することから始まります。
普段どのような姿勢で過ごしていて、どの部分に褥瘡や関節の拘縮が形成されそうなのか、しっかり把握していきます。
そのためにポジショニング前の写真を撮り、関わっている専門職の共通理解や状態の変化を評価するために役立てましょう。
また褥瘡については、「皮膚が乾いているのか」や「肌の色」なども観察しておきましょう。
マットレスを導入する場合、最大利用者体重や利用者様の体格がマットレス適合寸法内かも注意して選びましょう。
設置
では実際に用具を設置してみましょう。
その方の身体に合わせて、適切な用具を適切な場所に設置していきます。
設置するときには、利用者様に快適な姿勢かを確認しながら、導入前に確認した褥瘡や関節の拘縮が形成されそうなところに、圧がかかっていないかを注意して設置しましょう。
調整
設置後は、導入前に行った評価や写真などと照らし合わせて、ポジショニングに使用する用具を変更することや、用具の設置場所を変更することを検討しましょう。
1つの用具にこだわり過ぎずに、状態に合わせて複数の用具を使用することも頭の中に入れておきましょう。
またベッドの背上げ機能を使用して、背上げ角度調整をすることや、背上げ連動で動く膝上げ機能を利用して膝上げ角度を必要に応じて調整しましょう。
特別養護老人ホームなどの施設で働いている介護職員で、看護師がいるようであれば、相談しながら調整してもよいでしょう。
プロとしてスキルアップするには
おわりに
昨今、介護の現場で医療的なケアが必要な人が増えてきました。ポジショニングのような医療的なケアの学習は今後ますます必要になっていきます。OJTで自分の職場で医療的なケアについて学びたいという方は、スキルアップを目指して医療的なケアを学べる職場に転職することもひとつかもしれません。
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