介護のフェイスシートって何?アセスメントシートの違いとは
はじめに
フェイスシートという名前を聞いたことがあるでしょうか?
福祉の業界で仕事をする上で必ず一度は触れるものであり、利用者様の情報を集約・活用していくには欠かせないものです。
今回はフェイスシートの内容や役割、混同しやすいアセスメントシートとの違いについて解説してきます。
フェイスシートとは
フェイスシートは、その名の通り利用者様の「顔」(基本データ)を表すシートのことです。
利用者様を理解する上で、シートを見てその人が分かるように情報が整理されていなければなりません。
フェイスシートの内容
事業所によっても異なりますが、概ね以下の項目で構成されています。
・氏名
・生年月日
・本籍地
・住所
・家族構成
・職歴
・既往歴
・投薬内容 など
緊急時などに必要な人や機関と連絡を速やかに取る際にも、利用者様の周辺情報が記載されたフェイスシートの存在は非常に便利です。
フェイスシートの役割と記入方法
フェイスシートの役割
フェイスシートは、「見てその人のことが分かる」という「顔」の役割があります。
どんな輪郭か、どんな目をしているかということを記入するように、どんな仕事をしてきたのか、どんな障害があるのかなど、「どこからどう見ても○○さんのこと」と分かるように書かれていることが必要です。
このフェイスシートを元に、さらなる情報収集が行われ、ケアマネジャーがケアプランを作成するためのアセスメントシートが作成されます。
サービス提供をスムーズに開始するためにも、正確かつ詳細な情報をフェイスシートに記載することが非常に重要です。
記入方法と保管方法
フェイスシートの記入方法と保管には、いくつかのルールがあります。
① わかりやすく、読みやすい文章で書く
最近はパソコンで入力する事業所も増えてきていますが、手書きの場合はボールペンなど消えないペンで読みやすい字で書くようにしましょう。
また情報が多いとだらだらと長い文章で書いてしまいがちですが、必要な情報を簡潔に記入するようにしましょう。
② 情報は正確に
読みづらい名前や間違えやすい地名などはよく確認の上、記入するようにしましょう。
③ 空白を作らないようにする
フェイスシートに記載してある項目は、すべて介護記録を記入する際に必要なものです。
分からないから、知らないからと空白を作らずに確認できる点は必ず確認するようにしましょう。
④ 利用を終了された方の分もファイリングして保管しておく
介護の事業所に実地指導が入る機会があります。
その際、記録がファイルにまとめられているかどうかも指導項目になっていますので保管状況を介護職員すべてが把握できていることが必要です。
アセスメントシートとの違いと関連
フェイスシートが「顔」のシートなら、アセスメントシートは介護職員からの利用者様への「見立て」を記入するシートです。
アセスメント(事前評価・課題分析)は、利用者様の生活状況や心身状態、ご要望などを把握するために必要な過程です。
利用者様の生活状況や心身の状態、要望など細かく記入することが必要です。
また、他職種との連携の際にも活用されるものですので、誰が見ても分かりやすいように記入されることが求められます。
アセスメントシートに必要な項目
アセスメントシートには、厚生労働大臣が定める課題分析標準項目(23項目)というものがあります。(下記リンク参照)
日本介護福祉士会各種様式
施設や居宅などの条件によってもチェックしたいことが増えることもあるので、その場合は上記23項目にプラスする形であれば、介護者が誰でも作ることができます。
記入方法については、フェイスシートと同様のルールがあります。
項目に沿って、主語を明確に記入するように注意しましょう。
アセスメントシートの活用法
アセスメントシートを元にケアマネジャーがケアプランを立て、担当職員でモニタリングを行いながら個別サービス計画の作成と実施調整を行ないます。
利用者様の周辺情報だけでなく、このシートを見る事で本人の希望やクリアすべき課題が他職種とも情報共有できるようになっていることが求められます。
このように、フェイスシートと同じように様々な情報が集約されるのですが、使い方にフェイスシートとの大きな違いもあります。
違い① 定期的なモニタリングを行なう
介護やその他の支援によって、利用者様の課題やニーズは刻一刻と変化していきます。
そのモニタリングを定期的に行い、新たな課題が見つかればそこに焦点を当てた支援を行なうべく再度アセスメントを行います。
フェイスシートの場合は、生活歴や家族構成が細かく変化することはありませんので、書き加えられる情報は増えたとしてもモニタリングの必要はありません。
違い② 事後評価を行なう
基本的に介護は利用者様が亡くなられるまで行いますが、実施事業所を変更することはよくあります。
その際、フェイスシートには「○○へ移動」と記入すれば終わりますが、アセスメントシートには自分の事業所で行った援助の評価を記入しておく必要があります。
この「集結」の作業があるのもアセスメントシートの特徴と言えます。
おわりに
今回は、フェイスシートの役割とその活用方法についてお伝えしてきました。
事業所によっても様式は異なりますが、様々な職種や関係機関と連携する上で非常に重要な役割を果たす書類です。
介護の仕事を始めて間もない人にとっては、記入する部分が多くハードルが高く感じられますが、利用者様のことを知るいい機会です。
記録や面接技法の上達にもつながりますので、機会があるごとにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。