未来の介護現場を救う? 介護ロボットとは

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未来の介護現場を救う? 介護ロボットとは

はじめに

深刻な人手不足が叫ばれる介護現場で介護者と被介護者を助けてくれる「介護ロボット」が救世主になるのでは、と言われています。
各社で開発も徐々に進んできており、まだ数は少ないですが施設での導入も始まっています。

実際のところ、介護ロボットとはどのようなものなのでしょうか?
導入のメリット・デメリット、実際に運用されているロボットの紹介、今後の展望をご紹介したいと思います。

1. 介護ロボットとは?

介護ロボットとは、介護に用いるロボットの総称です。
現在「介護支援型」「自立支援型」「コミュニケーション・セキュリティー型」の大きく3つの種類に分けられています。

① 介護支援型
介護支援型ロボットは主に介護業務(移乗・入浴・排せつなど)の補助・支援を行います。
介護支援型ロボットを導入することによって、介護職員の職業病とも言われている腰痛の軽減になり、また要介護者もより安心感のある介助を受けることができます。

【例】株式会社イノフィス マッスルスーツ
株式会社イノフィスは東京理科大学発のベンチャー企業です。
介護者が身に着けることによりマッスルスーツに内蔵された人工筋肉が介助の際の介助者の身体をサポートし、腰痛軽減に繋がります。


② 自立支援型
自立支援型ロボットは要介護者の日常生活(歩行・食事・リハビリなど)の自立支援を行います。
利用者の負担軽減はもちろんのこと、利用者のQOL(Quality Of Life)を向上させることによって、リハビリや日常生活へのやる気や向上心を引き出すことができます。

【例】株式会社安川電機  ReWalk
株式会社安川電機は日本で初めて全電気式産業用ロボットを出荷した老舗のロボットメーカーです。
ReWalkは脊髄損傷などによる下肢の麻痺で歩けなくなってしまった方向けの歩行アシスト装置です。
装着はストラップだけと簡易で、使用者一人で装着することができます。
今まで車いすでは行けなかった場所に行けたり、家族や友人と同じ目線で会話をすることができるので、QOLの向上やリハビリの一環にもなります。

③ コミュニケーション・セキュリティー型
コミュニケーション・セキュリティー型ロボットは利用者とコミュニケーションを取ることによって、利用者の活動・生活を向上させるものです。

【例】トレンドマスター株式会社 なでなでねこちゃん

名前通りネコの姿をしたロボットで、おもちゃの開発・製造を行っているトレンドマスター株式会社が開発しました。
元々は子供向けの商品でしたが、高齢者にも需要があることが分かり、高齢者向けに改良を加えて福祉業界での販売を始めました。
ロボットを撫でることによる癒し効果だけでなく、「ネコちゃんが鳴いたから薬を飲もう」という促し効果も実証されています。

2. 介護ロボット導入のメリット

様々な種類がある介護ロボットですが、導入にはどんなメリットがあるのでしょうか。


① 介護者の負担を軽減し、人手不足解消につながる
② 介護される側の心理的負担を軽減できる
③ 介護される側の身体的負担を軽減できる


排泄や入浴の介助を他人にしてもらうことに対して羞恥心を抱く方は少なくありません。
また間違った方法での介護は被介護者にかかる身体的負担も大きく、場合によっては皮膚剥離や骨折の原因にもなります。
介護者も無理な体勢や間違った方法での介護は身体に負担がかかり、体調を崩して退職、といった事態にもなりかねません。
そういった不安や心配を介護ロボットを活用することで解消し、介護する側にとってもされる側にとっても快適な空間が作り出せることが、最大のメリットだと言えます。

3. 介護ロボット導入における注意点

便利な機能を備えた一方で、介護ロボットには以下のようなデメリットも存在しています。


① 導入にかかるコストが高い
② 介護者(使用者)の正しい知識が必要
③ ロボットで対応できる内容は、まだまだ限られている


介護ロボットの働きは大いに期待されている反面、開発には費用がかかり、その分導入にはまだまだコストがかかるのが現在の課題です。
また開発段階である機能も多いことから、使用者が正しい知識を身に着けている必要があること、あくまで補助的な機能に留められていることが懸念点と言えるでしょう。

おわりに

介護ロボットの登場により、介護現場の様相は徐々に変わっていくものと予想されています
。介護支援や要介護者のQOLの向上、コミュニケーションの活性化やセキュリティー対策としても活躍が期待されています。

それでも介護の仕事を全てロボットにお願いできるわけではありません。
あくまで介護職と要介護者のサポートとして両者が快く生活できるように上手く活用していきたいですね。