腰痛・ヘルニア防止!体に負担をかけないトランスファーと腰痛防止対策

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腰痛・ヘルニア防止!体に負担をかけないトランスファーと腰痛防止対策

はじめに

利用者さんがベッドから車いす、車いすからトイレなど移動のお手伝いをするトランスファー、通称トランス介助は介護の仕事をする上で欠かせない業務の一つです。

トランス介助は利用者さんの身体を安全安心に移動させることが目的であり、そのためには安心して身体を介助者に任せてもらえる事が重要です。
介助者か利用者どちらかに余計な力が入っていたり、信頼関係が構築できていないと転倒のリスクや無理な姿勢・動作による皮膚剥離や骨折といった危険を招いてしまいます。
そのため介助者が特に神経を働かせる業務のひとつとなっています。

利用者さんにとって安全かつ安心で、苦痛のないトランスを行うために、介助者自身に負担のかからないトランスを行うためには、トランスに関する正しい技術と知識が必要です。
ここでは、利用者と介助者双方に負担のかからないトランス方法と、腰痛を防止・緩和する対策方法についてご紹介したいと思います。

1. ボディメカニクスを活用する

トランスは「介助は負担のかかるもの」「力仕事」と思われがちですが、「ボディメカニクス」という体の動きや力学などの知識を活用・応用した技術を活用することで介助の際に身体にかかる負担を軽減することができます。
ボディメカニクスは8つの原則から構成されており、その中のいくつかをご紹介します。

□ 両足を開いて身体を安定させる
床面に接している面積(支持基底面積)が広い方が身体は安定します。
そのため、介助をする際は両足を肩幅くらいに開いて立ち、片方の足を斜め前に出すと重心移動の際の腰や筋肉にかかる負担を軽減することができます。

□ 重心を低くする
前述の「両足を開いて身体を安定させる」を意識しつつ、膝を曲げて腰を落として重心を低くします。すると腰を曲げた前かがみの姿勢よりも安定して効果的に力を使うことができるはずです。
お相撲さんの取り組みを思い出してみるとイメージしやすいかもしれません。

□ 身体はねじらない
不自然に身体をねじる動作は腰痛の原因になります。また身体をねじると本来の力が出せず、無理をして余計に力がかかってしまいます。
腰と肩を平行に保つことを意識すると地面を踏みこみやすくなり、身体全体を使って無理なく介助を行うことができるはずです。



日本福祉アカデミー 介護技術#01 ボディメカニクスについて【介助方法】【日本福祉アカデミー】

2. 腰痛予防対策を行う

ボディメカニクスを活用して身体への負担を減らしていても体質や、ふとした瞬間に余計な力を使ってしまって腰や膝に負担がかかってしまうことがあります。
腰痛やヘルニアを発症してしまうと、業務だけでなく、日常生活にも支障をきたしてしまう恐れがあります。
仕事もプライベートも元気で充実した日々を送るためにも、腰痛予防策は日ごろ意識して行うようにしましょう。
先輩職員の予防策をご紹介したいと思います。

□ 腰痛ベルト(コルセット)を着用する
腰痛自体を治す効果はありませんが、腰痛の予防・軽減に役立つアイテムです。
身体を支える筋肉の働きを助け、痛みの出る姿勢を取らないようにするものです。
幅の広い方がしっかりと腰を固定することができるのでおすすめです。
メッシュ製のものや綿製のものなど身体を動かす介護職にもうれしい通気性や吸湿性のいいものもあるので、ご自身に合ったベルトを着けるといいでしょう。

□ 腰痛体操をする
以前は腰痛が起きたら「なるべく動かさず安静に」が腰痛解消・軽減方法でした。
しかし腰をかばうような姿勢や生活を続けると猫背気味になって筋肉が硬くなってしまい、血流が滞って逆に苦痛を感じやすくなってしまいます。
現在は「動いて」治す・軽減す方法が主流になりつつあり、短時間で簡単な動きで腰痛の解消・軽減されている方法が本や動画などで紹介されています。
今回ご紹介する動画の「これだけ体操」は1回3秒のとても簡単なストレッチですので、休憩中や仕事終わりなど空き時間に試してみてはいかがでしょうか。


これだけ体操 松平浩が実演

おわりに

トランス介助は介護の現場からは切っても切れない業務の一つであり、業務の中でも大きなウェイトを占めています。
トランス介助をができなくなると介護の仕事を続けられなくなる、といった事態にもなりかねません。
ただ身体の不調を感じたら、無理はせずに病院や整体院など専門機関に相談してくださいね。
そうならないためにもご紹介したようなボディメカニクスの活用やコルセットの着用、腰痛体操の実施などできるところから腰痛・ヘルニア防止対策をはじめましょう!