これでばっちり!高齢者の車椅子の選び方

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これでばっちり!高齢者の車椅子の選び方

はじめに

日常生活をおくるのに、どのぐらいの介護が必要かというのは利用者様一人ひとり違いますが、多くの方が、最終的には自分の脚で歩くことができずに車椅子を利用されます。

車椅子を選ぶ際には、動くものならなんでも良いのではありません。
きちんとした選ぶ基準があるのです。
福祉用具というのは便利なものですが、その人に合った用具を適切に使用しなければ効果が得られず、逆に危険が及ぶこともあるのです。

高齢者の車椅子を選ぶ際、どんな種類の車椅子を、どのようなポイントに注意して選べば良いのでしょうか。
そもそも車椅子の役割とは何でしょうか。

車椅子の役割とは

今は、デパートなどの店舗や公共の施設などには、必ずといってよいほど車椅子が置いてあります。
なぜ、介護施設だけではなく車椅子がここまでポピュラーになったのでしょうか。
その理由は車椅子の役割にあります。

利用者様の移動を助ける
介護施設では、自分の脚で歩行することが困難な利用者様の移動をサポートする道具です。

車椅子があれば、誰かの手を借りずに自分一人で移動できる人も大勢いますし、介助者も少ない力で移動をサポートすることができます。
移動の幅が広がり、その人が暮らす生活エリアが広くなることにより、介護が必要な状態になったとしても有意義な人生をおくっていただくことができます。


座位を維持する時間を保てる

骨折や病気がきっかけで自分で歩くことができなくなる利用者様は多くいます。
自力での歩行が無理だとしても、ずっとベッド上の生活を続けていると足の筋力が衰えて立つことすらできなくなってしまいます。

いきなり歩き出すリハビリは無理でも、座ることによって体幹を鍛える効果があります。
また横になっている時よりも身体が起きていることを自覚するため、意識がハッキリしやすくなります。
この点で、車椅子で座位を維持する時間を確保できるのは有益なのです。

車いすにはどんな種類があるのか

介護用品は日進月歩なので、今や何十という種類の車椅子が販売されています。

それぞれの車椅子には、メーカーがこだわる細かな違いがありますが、大別すると次の3種類です。
利用者様の生活環境や身体の状態に合わせて選ぶようにしましょう。

自走車用車椅子
「自走」とは呼んで字のごとく「自分で走らせることができる」車椅子です。
後輪の外側についている輪(ハンドリム)を操作して、進んだりバックしたり転回したりすることができます。

自走用車椅子が向いている方は、自分の手や足で車椅子を動かすことができる方です。
介護施設のようにバリアフリーが整備されているなら、半身麻痺の方でも、慣れれば自走することが可能です。


介助者用車椅子
自走用車椅子と逆で、介助者が背後から押して動かすタイプの車椅子です。
自力で車椅子を操作することが難しい方向けです。

介助者用車椅子は、誰かが介助することが前提となっているため、自走するためのハンドリムがついていません。
また自走する必要がないので、後輪の大きさが小さいという特徴もあります。そのため、自走用の車椅子よりも小回りがききます。
また介助者用が操作しやすい位置にブレーキがついているのも特徴です。

姿勢保持機能型車椅子
この車椅子は、介助用車椅子に姿勢を変えたり維持したりするための機能がついたものです。
車椅子上での座位を長時間保つことが難しい方向けの車椅子です。

安定した座位を保つため、座位の姿勢を保持しながら座面と背面が後ろに傾くティルティング機能がついたものや、背面だけが後ろに傾き仰向け状態に近くなるリクライニング機能がついたものがあります。

この他にも、背面の硬さ、広さ、位置が変えられるモジュール型車椅子などがあります。

車いすを選ぶポイント

福祉用具を使う際には、適切なものを適切に使用することが重要です。
これは道具類全てに共通することです。

椅子において「適切なもの」とは、どのようなものなのでしょうか。

利用者様の身体に合ったものを選ぶ
利用者様の体格や身体状況は、一人ひとり違います。
身体状況とは比較的座位を保てるのか、円背なのか、半身麻痺や関節拘縮がないのか、などです。
その人その人の身体に合った車椅子を選ぶことが、最も重要なポイントです。

身体に合っていないものを選んでしまうと、無理な姿勢をとらせてしまうことになります。
本来は便利な道具であるのに、使うのに辛かったり、褥瘡ができたりしてしまいます。

どの車椅子が適しているのか判断に困る場合は、福祉用具専門相談員や介護福祉士などプロに相談することが重要です。


利用環境を確認する
車椅子を利用したい住環境を確認することも重要です。
これには、本人が車椅子に乗れたらどんな暮らしをおくりたいのか、ということも関わってきます。

行動範囲はどのぐらいなのか、介護施設であれば施設内の廊下や居室の幅、トイレなどに対応しているのか、自分でベッドから車椅子に移乗するのか、などです。

住環境があまり広くないのであればコンパクトな車椅子がいいでしょう。
移乗介助をするには、肘掛部分が跳ね上がったり下に降りたりして乗りやすいタイプの車椅子が良いですが、自分で移乗する場合には肘掛があった方が良いこともあります。

足を乗せるフットレストが外せるタイプは、介助する時にぶつける可能性がなくなるので便利ですが、自分で移乗する場合にはフットレストを外してしまうと自分で装着できないこともあります。


サイズ変更がしやすいもの
高齢者の身体は、少しのことで福祉用具のサイズが変わることがあります。
例えば、体調の変化や服の厚みなどで車椅子のサイズ調整が必要になることもあるのです。

また多発性脳梗塞を患っている場合、脳梗塞を繰り返すごとに身体麻痺なども増えていくことがあるため、状況に合わせて調整が必要になります。

専門の工具なしに、座面の高さやフットレストの高さなどの微調整ができるものを選ぶと、利用者様の変化に対応しやすいといえます。

おわりに

車椅子は、利用者様の生活を支える重要な福祉用具で「自分の手足だ」とおっしゃる方もいるほどです。
それほどまでに利用者様の生活に密着している車椅子選びは非常に重要です。
利用者様の生活環境や体の状態に合ったものを選ぶようにしましょう。
適切なものを選ぶことによって、利用者様の生活をよりよいものにしていきましょう。