日本の介護を救う?外国人ヘルパーのメリットとデメリット
はじめに
みなさんは「2025年問題」というワードをご存知でしょうか。
「2025年問題」とは、団塊の世代が2025年までに後期高齢者に達することで、介護・医療費などの社会保障費の急増や介護従事者の不足が懸念されるという問題です。
特に介護職(看護師)の不足が深刻であり、その解決策のひとつとして外国人労働者の起用が上がっています。
今回はそんな外国人ヘルパー起用に関するメリットとデメリットについてお話していきたいと思います。
1. メリット:現場の慢性的な人手不足解消が期待される
2025年問題に限ったことではありませんが、介護の現場では慢性的な人手不足が深刻です。
そのため職員一人一人にかかってくる負担が大きく、精神的・肉体的に辛くなって職員が辞めてしまいさらに人手が足りなくなるといった負のスパイラルに陥っています。
そこで外国人の労働力が期待されています。
積極的に外国人労働者の受け入れを行っていくことで徐々に人出不足が解消され、1人あたりにかかる負担も減れば離職率の低下も期待できます。
また近年「技能実習生制度」という国の技術交流制度を利用し、3年間の間に介護福祉士の資格を取得することを条件に実際に外国人労働者を登用して、人材不足を解消している施設もあります。
この制度は最低3年間労働力の確保ができるので、離職率の高い介護業界にとっては長期的な活躍の見込める貴重な人材源と言えます。
2. メリット:介護職に向いている国民性
現在労働力として期待されているのはフィリピンやインドネシア、ベトナムなど東南アジアの人たちです。
東南アジア諸国の人の性格の傾向としてホスピタリティの高さや明るさが上げられ、そういった人柄は近い距離で高齢者に接する介護職に向いていると言えます。
特にベトナム人は真面目で気風が日本人に近いと言われています。顔立ちも欧米人と比べると日本人に近いので、高齢者の方も介護を受けることに抵抗が少ないようです。
またフィリピン人は明るく世話好きな国民性が介助だけでなく、歌や踊りなどレクリエーションの際にも発揮できます。
3. デメリット:言葉や文化の壁の問題
人手不足の面で期待が持たれる一方、一番の懸念は言葉と文化の問題です。
上記で述べた「技能実習生制度」では入国前に日本語能力検定の合格が必須となっており、一定の日本語能力は保たれています。
しかし日常会話は理解できたとしても、介護現場での専門用語の読み書きが難しかったり、宗教上の理由で業務に支障が出たりと細かい部分で様々な心配がされています。
また中には外国人労働者に介護を受けることに抵抗を感じる入居者(利用者)もゼロではなく、こういった面から受け入れに二の足を踏んでいる施設も少なくはありません。
介護の現場は入居者(利用者)さんが第一ですので、デメリットになると判断されると、人手の供給があるにもかかわらず受け入れ先が見つからないといった事態にもなりかねません。
おわりに
人材不足が叫ばれる中で外国人の労働力は魅力的ですが、人の命を預かる仕事である以上言葉や風習、外国人そのものへの抵抗などから、すぐに手放しで介護の現場で活躍できるかはまだ疑問が残ります。
しかし近くに迫った2025年問題解決のため、現場で働く介護職員の負担減のためにも外国人労働者登用を積極的に考えていかなければなりません。
「受け入れられない」と最初から拒否するのではなく、シーツ交換や配膳など介護補助と呼ばれる簡単な業務から始めさせてみるなど受け入れるための努力・施策も必要かもしれません。