介護初心者でもできる!利用者様の安全な起こし方

  1. トップページ > 
  2. 特集コンテンツ > 
  3. お役立ち情報 > 
  4. 介護初心者でもできる!利用者様の安全な起こし方

介護初心者でもできる!利用者様の安全な起こし方

はじめに

怪我や病気の治療で絶対安静状態がしばらく続くと、治療後すぐには体を想う取りに動かすことはできないでしょう。
その状態は廃用症候群と呼ばれる状態で、利用者様も寝たきり状態が続くと、深刻な廃用症候群に陥る可能性が高いのです。
利用者様を廃用症候群にさせないために、介護では起き上がり介助が重要とされています。

そこで今回は起き上がり介助について、詳しく取り上げていきましょう。
後半ではベッドの場合と、布団の場合の2種類の起き上がり介助方法を見ていきます。
介護職員や在宅介護を行っている方は、ぜひ参考にして下さい。

起き上がり介助の重要性

起き上がり介助を正しく実践するには、起き上がり介助の意味をしっかり把握しておくことが重要です。
介護における起き上がり介助の重要性について、まず確認していきましょう。

廃用症候群を防ぐ起き上がり介助

長い間体を全く動かさない状態が続くと、廃用症候群に陥るリスクが大きくなります。
廃用症候群とは、生活不活発病とも呼ばれ、心身にさまざまな症状が出るとされているのです。
例えば筋肉や関節が硬直してしまう拘縮や、うつ病や見当識障害などが症状に含まれます。
利用者様の廃用症候群を予防するには、積極的に起き上がり介助を行い、寝ている状態で過ごす時間を少しでも減らすことが有効なのです。

起き上がっている姿勢の維持にも筋肉は使われるので、起きあがり介助は廃用症候群の予防になるとされています。
さらに廃用症候群の予防効果があるとされる日光浴や、手足のマッサージなども合わせて行うと、より効果的に予防することができるのです。

寝たきり防止策としての起き上がり介助

利用者様が完全な寝たきりの状態に陥ると、たった1週間ほどで、全身の筋肉量は約10~15パーセントも減るとされています。
筋肉量が減るとますます体は動かしにくくなり、さらに身体を動かせなくなるという悪循環に陥ってしまうのです。
そうなると、廃用症候群のリスクもかなり上がってしまうでしょう。
さらに寝たきりになってしまうと、介助者の負担も増えます。
そのため寝たきりを予防する起き上がり介助は、介護においては欠かせない介助なのです。

起き上がり介助のポイント~ベッドから起き上がるまで~

安全にかつ利用者様と介護職員双方の負担が少なく介助するためには、いくつかのポイントを把握しておく必要があります。
以下ではそれらのポイントを確認しながら、基本的なベッドでの起き上がり介助方法を見ていきましょう。



ポイント1: ベッドの高さを調整する

まず利用者様の足が地面に着く丁度良い高さまで、ベッドの高さを調整しましょう。
利用者様自身が足を踏ん張ることができることで、安心感が生まれます。
さらに介護職員の負担も減るのです。

ポイント2 :利用者様の膝を曲げて身体を横向きにする

次に利用者様のひざを曲げて身体を横向きにし、介助しやすくしましょう。
利用者様のひざを曲げると、痛みが出る場合は、無理に曲げないようにして下さい。

ポイント3 :利用者様の肩甲骨と膝に手を添える

介護に慣れない方は、つい首の後ろに手を添えて起き上がらせようとしてしまいがちです。
しかし首の後ろを圧迫すると、思わぬ事故を引き起こすことがあります。
そのため利用者様を起き上がらせる時は、必ず利用者様の肩甲骨と膝に手を添えましょう。

ポイント4: 利用者様の身体の下にある腕をベッドにぴったり付ける

利用者様の身体の下側になった腕の肘から先を、しっかりベッドに付けることも重要なポイントです。
利用者様自身の身体を支える力を利用することで、より安全で負担の少ない起き上がり介助ができます。

ポイント5 :足を下ろす反動と利用者様自身の支える力を上手く利用しながら起こす

最後に利用者様の足を下ろし、ベッドに付いている利用者様の手を抑えながら、利用者様に声かけをして上体を起こしましょう。
この方法では足を下ろした時の反動と、利用者様の腕の支える力を最大限に利用することができ、介護職員の負担が減ります。
さらに自力で自身の身体をある程度支えられることで、利用者様も安心感を抱きやすいのです。

起き上がり介助のポイント~布団から起き上がるまで~

布団での起き上がり介助では、ベッドでの起き上がり介助とは異なる点に注意する必要があります。
また布団の場合、誤った方法で起き上がり介助を行ってしまうと、介護者が腰や背中を痛めてしまう危険性が高いのです、
そこで正しい布団での起き上がり介助方法についても、しっかり確認しましょう。



ポイント1: 利用者様の腕を前でまとめる

まず介護職員は利用者様の真横に座ります。
そして利用者様の腕を交差させるように、前でまとめましょう。
腕がぶらぶらと動くことで、怪我につながってしまうことを避けるためです。

ポイント2: 利用者様の頭を優しく持ち上げ肩に片腕を差し込み、肩甲骨付近に手を添える

次に利用者様の頭を持ち上げ、腕を肩に差し込み、肩甲骨付近に手をしっかり添えましょう。
安全確保のために、利用者様の頭は優しく持ち上げ、手のひら全体で肩甲骨を包むようにしっかりと手を添えて下さい。

ポイント3: 自分の身体と利用者様の身体を手前に引くようにして上体を起こす

最後に利用者様の身体と自分の身体を手前に引くようなイメージで、利用者様に声かけをしてから上体を起こします。
自分の身体も一緒に動かすことで、介助の身体的負担はかなり減るでしょう。
介護職員の身体の動きの反動を使うことで、利用者様も安心して起き上がれるようになるのです。

おわりに

起き上がり介助を行ってなるべく利用者様の離床時間を延ばすことは、廃用症候群の予防にはとても重要です。
その重要性を意識しながら、しっかり正しい起き上がり介助を行いましょう。

また起き上がり介助以外の歩行介助や移動介助でも、介助者と介助する相手同士があまり負担を感じない方法で行うことも大切です。
介護初心者の方は、ぜひ今回取り上げた起き上がり介助方法の基本動作を参考に、安全で負担の少ない起き上がり介助を実践してみて下さい。

また最近では起き上がり介助の詳しい動きや、裏技などを紹介した動画もたくさんあります。
起き上がり介助の技術を磨きたい介護職員は、ぜひそのような動画で起き上がり介助方法を研究してみて下さい。