万が一のために!デイサービスでも行っておきたい避難訓練

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万が一のために!デイサービスでも行っておきたい避難訓練

はじめに

皆さんは、幼いころから学校などで幾度となく避難訓練をしてきて経験があるでしょう。
地震の場合はまずは机の下に潜りこむ、火事の場合はハンカチを口に当てて先生の誘導で避難場所まで逃げた記憶があるのではないでしょうか。
社会人になると、会社や勤務先で、今度は自身が避難誘導をする立場になることがあります。
それは、病院や福祉施設においても同様です。
しかし、患者さんや利用者様の場合は1人で歩くことができないかもしれません。
毎日顔ぶれの異なる利用者様が集うデイサービスで、もしも火事が起きてしまったら、学校で行った避難訓練のように上手くできるでしょうか。
そこで、デイサービスでの避難訓練について詳しくみていきましょう。

デイサービスでも避難訓練は必要なの?

デイサービスの避難訓練は年2回必要
消防法第8条によると、デイサービスでの避難訓練の実施回数は年2回と定められています。
また、消火訓練においては年2回行うこと、年1回通報訓練をする必要があると定められています。
これらをクリアするため、デイサービスでは年2回の避難訓練の計画を毎年たてることになります。
具体的には、1回の避難訓練で通報、消火、避難という流れで行うように計画し、これを年2回実施する場合が多いでしょう。

また、デイサービスで避難訓練を実施する場合、防火管理者の選任の要否についても知っておかなければいけません。
防火管理者については、職員・利用者定員を含め30名以上の場合は、防火管理者を選定しなくてはなりません。
職員・利用者定員を含め30名以下の場合は、防火管理者の選定は必要ありませんが防火管理の責任者を定めておく必要があります。

避難訓練はマニュアル作成から
火災等の災害による被害を最小限にするには、消防隊が到着するまでの間、いかに迅速かつ的確に行動できるかが重要です。
しかし、いざという時に的確に行動することは簡単ではありません。
特に、毎日利用者様の顔ぶれが違うデイサービスでは、非常時に職員が一人一人の心身の状況を把握して迅速な行動をする余裕はないでしょう。
そのため、デイサービスの避難訓練では予め利用者様の動きや介護量毎に避難誘導するためのグループ分けするなどしておことが必要です。
そして、避難の方法や手順を決めておくことが重要になります。
そうすることで、年2回の避難訓練が効果的で臨場感のあるものになるでしょう


では、具体的にデイサービスで実施する避難訓練に臨場感を持たせ実践的なものにするためには、どうしたら良いでしょうか。
それは、避難訓練を実施する際の事前計画がポイントになります。
この事前計画の段階で是非、作成しておいた方が良いと思われるのがマニュアルです。

年2回の避難訓練を単に義務的に実施するのではなく、訓練計画の策定→訓練の実施→実施結果の検証というサイクルを繰り返し行うことが重要です。
この一連のサイクルに沿って、職員がどのような順番で行動するのか、誰がどの役割をするのかという内容をマニュアル化しておきましょう。
そうすることで有事の際には日頃の避難訓練の成果が生かされ、役割分担が出来ると共に、迅速に行動できるようになります。

マニュアルを作成する目的とは
デイサービスの避難訓練においてマニュアルを作成しで実施することの目的は何でしょうか。
災害時の介護職員のリスク意識を明確にし、行動基準を設けることです。マニュアルに沿った対応をすることによって、災害による被害を軽減することに繋がります。

マニュアルに載せる内容は
デイサービスの避難訓練のマニュアルに載せる主な内容は以下のようなことが考えられます。

1. 災害時の組織体制(職員の役割分担:指示係、情報収集係、避難誘導係など)
2. 緊急連絡網
3. 火災発生時の対応方法(避難誘導の一連の流れ、消火器の使用方法など)
4. 利用者様の一覧
5. 避難経路図

マニュアルに載せる際はわかりやすく、明確で、誰が見ても明確であることが大切です。
手順を箇条書きにする、イラストや写真を使って解説するなど、工夫をして分かりやすいマニュアル作りを心がけましょう。

実際に避難訓練を行ってみましょう

では、実際に避難訓練を行ってみましょう。
避難訓練の実施にあたっては、その手順を確認すする前に、デイサービス事業所の建物が特定防火対象物に指定されているか確認しておきましょう。
消防法第17条2-5に定められている「多数の者が出入りするものとして政令で定めるもの」が特定防火対象物に指定されます。
例としては、百貨店、ホテル、病院、福祉施設、学校施設などが挙げられます。
そして、特定用途防火対象物である場合は、消防署に予め避難訓練を実施することを通報しておくようにしましょう。

事前準備
デイサービスの避難訓練における事前準備としては以下の点が必要になります。
・事前計画の作成(訓練日、出火場所、出火時間、役割分担、避難場所、避難方法)
・利用者様への配慮や説明(サイレン音が鳴ることや訓練である旨の説明)

用意する機材や物品
・通報訓練のための電話(内線電話や実機)
・出火場所を特定するための目印(旗やタオル)
・安全に誘導できるための物品、用具(拡声器、防災頭巾、ヘルメット、車いすやなど)
・非難誘導ができるための経路図(非常口、消火器、火災報知器など設置場所を明記)
・ストップウォッチ(搬送開始から点呼、確認までの時間を計る)
・点呼表(利用者様の安否の確認)


当日の流れ
当日の避難誘導、救護活動の手順とポイントは以下のようになります。
1.火災の覚知
自動火災報知設備やスプリンクラー設備の起動など機械により覚知する場合と、人が発見することにより覚知する場合の2つが考えられます。
覚知した方法により訓練の流れが変わってきます。
デイサービスの避難訓練ではどちらの場合でも対応できるように、都度パターンを変えて避難訓練を実施しておくとよいでしょう。

2.現場確認
・火災であることを確認したら、火事ぶれをし、火災報知器や非常ベルを作動させます。
・連絡を受けた人は119番通報します。
・ベルの音や、訓練開始の合図で介護職員は自身の役割に従って、避難行動を開始します。

3.初期消火
火事であることを周囲に知らせたら、近くにある消火器で初期消火活動をします。

4.避難誘導
・自力で避難できない方については、抱えたり、背負ったりするほか、車いすやベッドシーツなどを活用して安全な場所に避難誘導しましょう。
・利用者様には冷静に分かりやすい内容で指示し、一旦避難したら戻らないように見守りましょう。 (難聴や視力低下のある方、認知症の方は、特に配慮が必要です。)
・混乱を鎮め、避難した利用者様で徘徊や転倒の恐れがある方に対して、二次災害が起こらないように配慮しましょう。

5.消防隊への情報提供
・全員の避難が完了しているかを確認し、避難訓練参加者の安否情と人数を伝えます。
・ケガをした方がいないかを確認し、ケガ等あった場合は速やかに応急手当を行います。

6.訓練実施結果の検証
・避難訓練にかかった所要時間と前回の避難訓練の時との比較をします。
・通報が適切に行われたかの振り返りをします。
・避難経路は安全、適切であったかの検証をします。
・避難誘導時に危険性がなかったかどうか。
・介護職員間での役割分担や指示が的確に行われたかを話し合ってみる。
・通報、消火、避難誘導の一連の流れがズムーズであったか振り返りましょう。

避難訓練実施時に気を付けるポイント

デイサービスの利用者様は高齢であることや、様々な障害を持っていることがあります。
それらの点を踏まえて、避難訓練においては配慮が必要となることがあります。

利用者様の不穏に注意しましょう
利用者様の中には耳が聞こえにくい方や、認知症を患っているために避難訓練であることを十分に理解できない人がいます。
そのため、職員の慌てた様子や、いつもと違う動きを目にすると不安を感じてしまいます。
また、突然の非常ベルの音に恐怖心や不安感が増強して不穏に陥ってしまう可能性があり、避難誘導が上手くできなくなる危険があります。
そのような状況を回避するためにも、利用者様によっては、常に傍にいて安心できるような声かけや、体に触れて安心感を抱いてもらうような配慮が必要となります。

利用者様のADLに応じた避難誘導をしましょう
デイサービスの利用者を避難誘導する際は、ADLに応じて避難の順番や方法が異なります。
避難経路が平坦であるか、階段なのかによっても避難誘導の順番は異なるでしょう。
事前に利用者様のADLの見極めと、避難経路に応じた誘導方法の違いを普段から想定しておきましょう。

屋外への誘導では寒暖の差に注意をしましょう
室内から屋外に避難誘導する際は、温度差によって利用者様に異変が生じないように注意しましょう。
温度差に加えて、慌てて立ち座りを行い、無理に行動してしまう可能性があります。
転倒などの危険のみならず、血圧の変動を意識した避難誘導を意識しましょう。

おわりに

自然災害や火事はいつ起こるか分かりません。
デイサービスでは利用者様の生命を守ることを最優先に、速やかな避難誘導ができるよう避難訓練を計画的に行います。
避難訓練を繰り返し行うことで、作成したマニュアルも都度、より的確に行動できる内容に改定してことができます。
避難訓練の実施は、利用者様と職員の安全を確保できる体制の構築のために重要と言えます。