みんなはどうしてる?介護職の有給休暇事情

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みんなはどうしてる?介護職の有給休暇事情

はじめに

介護の仕事を続けていく中で、事情によって有給休暇を取りたい日というのはありますよね。
しかし事業所によっては気軽に有給を取得できる雰囲気ではなかったり、休みたい日の希望を出してみても希望通りにいかないこともあるようです。
今回は介護職の有給休暇取得状況と上手く有給休暇を取得するコツと合わせて解説していきたいと思います。

1. 介護職の有給休暇取得の現状

実のところ、介護職の有給休暇の取得状況はどうなのでしょうか。
NCCU(UAゼンセン日本介護クラフトユニオン)の調査によると、介護職員の有給消化率は56.8%と約半分しか消化できていない状況です。

特に正社員はフルシフトでの勤務が前提のため、時間給であるパートを優先にシフトを組んでいくと 、正社員の有給休暇の消化まではなかなか届きにくいという現状があるようです。

しかし、パートの場合も十分に有給休暇を取得できているわけではなく、NCCU(UAゼンセン日本介護クラフトユニオン)発行 2017年度就業意識実態調査によると、月給制の職員は約40%、時給制の職員も約15%が有給休暇を「なかなか取得できない」「まったく取得できない」状況におかれています。

2. どうして取得率が低いのか?

飲食業やアパレル業などシフトで働く業界は他にはありますが、なぜ介護職の有給休暇の取得率は低いのでしょうか。

人手が足りていない
原因の一つに人手不足が挙げられます。
人出が足りない介護現場は職員の希望に合わせて有給休暇をシフトに組み入れていくと現場が回らなくなってしまいます折角有給休暇を申請しても急な病欠や早退など、現場に人が足りなくなってしまうと出勤せざるを得ない、という日もあるそうです。

有給休暇を気軽に言い出せない
本来であれば有給休暇の取得は労働者の権利なのですが、現場によっては有給休暇を気軽に取らせてもらえないということもあります。
「有給休暇は気軽に取るものではない」という方針の現場もあるそうで、「みんなが取っていないのに自分だけいいのだろうか」と後ろめたさや罪悪感が生まれ、中々言い出せないといった悪循環が生まれてしまいます。
使用していいのは病勤や、退職前の有給消化だけ、という独自のルールを強いている施設もあるそうです。

有給休暇の仕組み自体を知らない
「私はパートだから有給休暇はないと思っていた」と、有給休暇の仕組みをあまり把握していない職員もいます。
労働基準法第39条で6か月以上継続して勤務した労働者に対して有給休暇を付与することが定められています。
会社から有給をきちんと通達してくれる職場ならいいのですが、中にはそのまま何も告げられずに有給が消滅してしまうなんてケースもあります。
非正規雇用の方も上司や総務担当者に確認することをおすすめします。

3. 有給休暇を上手く取得するには?

「有給休暇は労働者の権利!」と息巻いて上司に有給休暇の取得を迫るのもいいですが、どうせなら気持ちよく休みを取りたいものですよね。
では、有給休暇をうまく取得するにはどうすればよいのでしょうか。

早い段階から有給の申請を出しておく
休みを取得するとなると、多かれ少なかれ周りの職員に仕事を負担してもらうことになります。
シフトを出す直前になって有給の申請をすると、既に組んでいたシフトの調整などで上司や周りの職員にも迷惑がかかってしまいます。
結果的に有給休暇の取得ができなかったり、できたとしても「計画性のない人」と思われるかもしれません。
シフト作成者に「毎月〇日までに申請すればいいか」などルールを確認し、期日までに申請を済ませるようにしましょう。


上司や周りの職員に「根回し」をしておく
「根回し」という言葉の響きは悪いですが、上司や周りの職員に「実は〇日ごろ休みを取ろうと思っていて…」と休みを取りたい旨を軽く話しておくのも一つの手です。
「実は私も…」と他の職員も言い出しやすくなりますし、予め休みの日が分かっていれば上司もシフトを組む時の目安ができます。
「じゃあ私はその日出るから、あなたは△日出てくれる?」など職員間での休みの調整もしやすくなりますので、日ごろからこうしたコミュニケーションを取っておくといいですね。

有給を申請する時に周りと予定が重なっていないか確認しておく
有給休暇は労働者の権利ですが、その日に休むと会社の事業の正常な運営を妨げる場合、会社は時期の変更を要求する権利があります。
つまり、その日に休むと施設の運営に支障が出る場合、施設は別の日に取得するよう要求できる、ということです。

特に年末年始やお盆などの連休は他の職員と有給休暇が重なりやすい ので、周りの職員と相談して日にちをずらすなど調整をしながら取得をするのがいいでしょう。
「前回は譲ってくれたから、今回は希望日を譲るよ!」とお互い譲り合いの精神で気持ちよく休みを取れるといいですね。

おわりに

有給休暇は労働者の権利であり、取得自体は奨励されるべきですが、人手不足が叫ばれている介護現場では自由に取れない状況もあるようです。
限られた日数を調整して有給休暇を取得するには周囲への相談や譲り合いが必要になります。
気持ちよく休みを取ってリフレッシュするためにも、周囲への配慮や気遣いを忘れないようにしたいものですね。